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『「空気」を読んでも従わない』(鴻上尚史)

「空気」を読んでも従わない: 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書)
「空気」を読んでも従わない: 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書)

生きにくさの原因を世間と社会の対比で示し、世間を構成するものを挙げて、その攻略法を具体的に書く。
その上であなたはどうしますかと、問いを投げ掛けている本です。
これによってしんどさから逃れる道を見つけるのは、きっと若者だけの話ではないでしょう。
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『グラウスタンディア皇国物語1』(内堀優一)

グラウスタンディア皇国物語1 (HJ文庫)
グラウスタンディア皇国物語1 (HJ文庫)

先の大戦を集結させたのは、グラウスタンディア皇国第二皇女に支える七人の英雄<皇国七聖>だった。再び戦火が起きようとした時、皇女ユースティナは七聖を招集するのだった。

一概にラノベと言っても様々なジャンルがある訳です。異世界(ファンタジー)戦記物もそのひとつで、ラノベ以前より人気のあるジャンルなのですね。そして異世界戦記物が大好きな身としては、喜んで手にした本なのでした。
第二皇女が非正規に集めた集団であり、正規の軍人以外の職業人が集められていたという七聖の存在が魅力的です。しかも今作ではその全員がまだ揃わないというのも、王道の展開と言え次巻以降が楽しみになるのです。

ファンタジー世界に於ける戦記物だと、どこまでファンタジー要素を絡めるのかが物語のバランスを決めるものとなります。
その点ではこの世界では魔法(のようなもの)は一般的ではないようで、戦略に於いて影響するものでないようです。そのため非現実的な要素で決着させるようなことは書けないのですね。
そこでどのような策を講じてピンチを抜けるのかが、物語の肝となります。そこに一部非現実的な力もエッセンスとして加えるのが、この作品の「ラノベ」としての味付けとして魅力ともなるところでしょう。

それは戦略云々の部分に限らず、他のこまごまとしたところにも現れます。キャラクターの色づけや行動にも、読者を楽しませるための仕掛けが為されているのですね。それがあるから、この作品は「ラノベの戦記物」であるのでしょう。
ジャンル小説はそのジャンルとしてのバランスは大切で、それを維持しながら大きく外していくというアクロバティックなことが求められます。ちらりと見せられるファンタジー要素が、この後どのように物語に影響を与え展開していくのかが楽しみです。

『ウィンダリア 童話めいた戦史』(藤川桂介)

ウィンダリア―童話めいた戦史 (角川文庫)
ウィンダリア―童話めいた戦史 (角川文庫)

30年ほど前のアニメ作品の原作小説です。当時関西では夏休みなどの休みのたびに「アニメ大好き」という番組がありまして、夕方にオリジナルビデオアニメ(OVA)作品を放送していたのです。そこで出逢ったアニメ作品は数多く、関西のオタクは「アニメ大好き」に育てられたと言っても過言ではなかったのです。

で、この『ウィンダリア』もそこで出逢ったのです。主人公の非道さとエンディングの美しさ(テーマソングも名曲なのです!)が印象的で、一度見ただけなのに忘れられない作品となったのです。
それを30年過ぎて原作小説に手を出してみたのです。30年経た今どのように感じるのだろうかと、少しの不安を胸にして。

「約束」をテーマにしたファンタジー。約束を違え国と国が争いをはじめ、それに翻弄される人々。それぞれの国の王子と姫は将来を約束したのに、国を背負わされ運命に弄ばれてしまう。村に住む若者は立身出世を夢見て、妻に帰ってくると約束して出て行くが自らの欲望に飲み込まれてしまう。
物語の核となるものは、古くから繰り返し描かれてきたものです。でもだからこそ読み手の心に響くものもあるでしょう。30年以上前の作品なのに古びないのも、その普遍的なテーマを扱っているからかも知れません。

アニメ版もまた見てみようかな。

『ストームブレイカー 女王陛下の少年スパイ!アレックス』(アンソニー・ホロヴィッツ、竜村風也・訳)

ストームブレイカー (女王陛下の少年スパイ!アレックス)
ストームブレイカー (女王陛下の少年スパイ!アレックス)

14歳のアレックスは唯一の肉親イアン叔父さんを交通事故で失う。しかし叔父さんは事故にみせかけられて殺されたことがわかる。しかも叔父さんが諜報機関MI6の工作員だと聞かされ、アレックス自身も叔父さんの敵を討つためにMI6にスカウトされるのだった。

今や『カササギ殺人事件』で有名になったアンソニー・ホロヴィッツによるYA作品。『カササギ』ではクリスティの色が強く出ていましたが、ここではジェームズ・ボンドを彷彿とさせるスパイアクションが展開されます。
荒唐無稽のジェットコースターストーリーといった感じで、細かい理屈抜きにしてハラハラドキドキと爽快感を味わえます。何せいきなり中学生を軍の訓練に参加させたり、超高性能秘密兵器が登場したり、実は叔父さんにあれこれと仕込まれていた超人的能力だとか、細かい理屈が入り込む隙がありません。
しかもイラスト担当が荒木飛呂彦ですから、脳内で展開されるアクションシーンも派手になりますとも。

ストーリー展開のひねりや、どんでん返しを期待していたのですが、これはもうその場その場のピンチを切り抜けるアクションを楽しむものとして楽しむ方がいいですね。思う存分楽しみました。

『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』(青崎有吾)

風ヶ丘五十円玉祭りの謎 (創元推理文庫)
風ヶ丘五十円玉祭りの謎 (創元推理文庫)

本格ミステリとは何か? という問いに対する僕の答えは「探偵役が真相に辿り着くまでの道筋が美しい物語」なのです。何故その真相に辿り着いたかが美しく書かれていないと満足できないのです。
その意味では青崎有吾による一連の裏染天馬シリーズは、まごうことなき本格ミステリなのです。

長編では殺人事件を相手に濃厚で緻密な謎とその解明が描かれますが、この短編集では所謂「日常の謎」を相手に軽やかに、でも推理は濃密に展開されます。
学食裏に食べ残しのどんぶりを放置したのは誰か? 夏祭りの屋台でおつりが五十円玉ばかりなのは何故か? 吹奏楽部の男子が閉め出される理由、放課後の教室から消失したふたりの少女、廊下の花瓶を割ったのは誰か? 何てことない事象を謎と仕立てて、その真相へと進んでいく展開は実に面白いです。細やかな伏線が(場合によっては大胆に)張り巡らされ、それを探偵役がひとつひとつ指摘していく爽快感。本格ミステリの醍醐味を味わえます。
あの「五十円玉二十枚の謎」の亜流が見られたのにも欣喜雀躍ですよ。

パスルゲーム的な話が多い中で「針宮理恵子のサードインパクト」は青春小説としての面も描かれています。見た目とぶっきらぼうな口調から他生徒から敬遠される女生徒は、年下の小柄な男子生徒付き合い始める。その男子がどうも部活の女子たちからパシリにされ練習場から閉め出されていると思い、どうすればいいのか悩む。
そこに潜む理由は解明されるのですが、その思い悩む姿やそこから取る行動が実に青春なのですね。このシリーズは所謂キャラクター小説の流れを汲むもので、キャラクターはかなり戯画化されているのですが、その中でこのように正統派青春小説のような展開を見せられると妙に得した気分になりますね。
プロフィール

大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市阿倍野区阪南町3−7−8



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