『赤い糸の呻き』(西澤保彦)

赤い糸の呻き

久し振りの西澤保彦はやはり面白かったです。奇抜な謎に対して探偵役が複数で(今作の場合2人だけど)ああだこうだとディスカッションしている内に思いもよらない事実が浮かび上がってくる。その論理の飛躍が思い切りが良過ぎて突飛に思える部分もありますが、それが快感に繋がるんですよね。そこから出てくる真相には人間の厭な部分が浮き彫りになるのは、この作家の特徴ですね。それがあるので西澤作品を読むのにはエネルギーを要するんですよね。
論理のディスカッションがメインになると単調になりがちですが、ここでは探偵役にキャラクター性をもたせてリズムをつけています。ぬいぐるみ好きの美形とそれに恋する女性の妄想の暴走をモノローグで示すなどなど。印象に残ったのは表題作。動機が怖く、それに通じる話の根幹部分がまた怖い。動機として納得できるかどうか別にして怖いという思いだけが焼き付けられた感じがしました。
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『パズラー 謎と論理のエンタテイメント』(西澤保彦)

パズラー―謎と論理のエンタテインメント (集英社文庫)

如何にも西澤保彦らしいミステリ短編集。ひとつの事実からいくつもの推理を導き出し、思いも寄らぬ結末に辿り着く。その結末だけを聞けば無理のある突拍子のない代物だけど、推理を立てては覆しまた新たな推理を立てる流れを見ていると、その荒唐無稽な結論が真実に思えてしまうんですな。まあそれが作者の思う壺なんでしょうな。

テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『方舟は冬の国へ』(西澤保彦)


西澤 保彦
Amazonランキング:537081位
Amazonおすすめ度:

見知らぬ女性と少女とともに、マイクとカメラで監視されている別荘で家族の振りをするよう依頼される主人公。一体何のために? そして別荘では奇妙な現象が起こるのだった。
突飛な設定があり、その中で起こる謎に対して推論を重ねていく。作者お得意のパターンですな。謎とは思えぬような事柄でも無理矢理謎に仕立てて、論理をこねくり回すのが快感でもあるのですが、今回はそれだけに終わりません。この作品のテーマは家族でしょうね。しかもいつもなら人間の厭な部分を肥大化して書かれることが多い西澤作品ですが、今回は話が進むにつれ、悲しみとともに希望も見えてくるんですな。作者曰く「おとなのお伽噺」というのが、なるほどと思わされる読後感です。その分パズラーとしての面白さは控えめなんですけどね。

テーマ : こんな本を読んだ
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市住吉区遠里小野5−3−1




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