『舟を編む』(三浦しをん)



前々から読みたいと思いつつ、タイミングが合わず今になりました。ちょうどアニメをやっているとかで、これもまたいいタイミングなのかなとも思うのですがどんなものなのでしょう。
辞書編纂の場を舞台にした恋愛物語だとか、辞書編纂の場を舞台にした成長物語なのかと思いきや、ズバリそのまま辞書編纂の物語でした。各章ごとに視点となる人物が変わるため辞書を作るということを多面体的に描かれ、言葉の海に挑む人々の姿が描かれます。
印象的だったのは西岡さんが視点となる章。辞書作りにのめり込んでいる訳でなく辞書編集部からも異動となる西岡さんの目だからこそ見えるものがあり、その視点が入ることで辞書の魅力がより一層引き出されていることに気付かされます。
元々辞書は好きで、今でも何か文章を書く時は紙の辞書のお世話になっています。同じようなことを表す言葉がいくつもあり、それらを使い分けるというのはどういうことなのか。きっと同じようなことと思っていることでも、ひとつひとつ違うものなのでしょう。だからこそそれだけ言葉があるのでしょう。言葉にできないものを言葉にするため、今日も辞書を引くのです。そしてその辞書を作っている人がいる訳ですね。
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『仏果を得ず』(三浦しをん)

仏果を得ず (双葉文庫)

つい最近、初心者向けの文楽公演を観てきた処なので、より一層話に入り込むことができました。若き太夫の芸と恋の物語。
三浦しをんの小説文体はクセが強いイメージでしたが、ここではスッと読み易かったです。人物造形も判り易く、そのため取っ付き難く感じる文楽の世界にも入り込めます。短編を重ねる形の構成も、読み易さに一役買っているのかも。
このように取っ付き難く感じる世界を魅力的に描く物語に触れると、自分の世界が広がるのがいいですね。文楽を観に行きたくなります。ただ、太夫と三味線に主眼が置かれたため、文楽(人形浄瑠璃)なのに人形と人形遣いのことがおざなりに感じるのは残念。そこまで膨らますと焦点がボケるのも判るのですが。

『まほろ駅前多田便利軒』(三浦しをん)

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

決して忘れることの出来ない、そしてどう対応していいのか判らない過去を抱えた男ふたりの物語。と言っていいのかな。便利屋を営む主人公の元に転がり込む元同級生という関係性が面白いです。
読んでいて心の中の寂しいという感情をぎゅっと掴まれるような感覚があります。でも、何とかなるんじゃないかとも思わされるんですね。その辺が巧いですな。

テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『夢のような幸福』(三浦しをん)

エッセイ集。自らを戯画化するだけでなく、家族も友人も見知らぬ他人まで戯画化することにより、物事を浮き彫りにしています。そのため感覚のズレが大きく強調され、笑いに繋がっています。いやはや抱腹絶倒ですよ。オタク的妄想が溢れ出るところは、妙に共感してしまったり。とほほ。

『人生激場』(三浦しをん)


三浦 しをん
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いやあ、笑った笑った。自分を戯画化して笑いに結びつけるのはよくある手法だけど、自分の「変」さに他人の「変」さを掛け合わせることによりおかしさを二乗してますな。いやしかし、胸毛にトキメクなんてネタで、かの『週刊新潮』に連載していたというのが一番の笑えるところかも知れませんが。

テーマ : こんな本を読んだ
ジャンル : 本・雑誌

プロフィール

大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市住吉区遠里小野5−3−1




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