『タイタニア5 凄風篇』(田中芳樹)

タイタニアついに完結ですね。久方振りに再開させてそれっきりだったらどうしようかと思いましたが、無事完結です。
銀英伝という大作の後で、同じ未来の宇宙を舞台にした作品なので、どう差異をつけるのだろうかと思いましたが、最後まで読むとこれは英雄不在の物語でした。英雄に憧れる者、英雄になりたかった者、英雄だと思い込んだ者、英雄になりたくなかった者、そんな者たちが集まった物語。国と国の争いでもなく、政治的イデオロギーの対立でもなく、あくまで個人の野望と願望の物語なのでしょう。
だからこそ海賊集団が物語の主軸になれたはずなのに、活躍し損ねた感はありますね。もっと話を膨らませば、もっともっとエピソードが広がったのでしょうが、ここはこれで完結したことを祝いましょうか。
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『銀河英雄伝説10 落日篇』(田中芳樹)

銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)

ついにとうとう最終巻ですよ。10巻に及ぶ長編小説の終着地として、なるほどと納得のできるものでした。
伝説が終わり、歴史が始まる。伝説は選ばれた者のみで構成されるが、歴史は生きとし生けるもの全てによって構成される。だからこそ、ヤンやラインハルトは舞台から去り、残された者が意志を継ぎ自分の足で進んでいくその瞬間が終わりとなる。あの人のこれからはどうなるんだろう、あの問題はどう解決されていくのだろうと思いを馳せることは多々ありますが、「銀河英雄伝説」として語ることは終えたということですね。
最終巻のここに来てこのキャラクターを死なすか!? という驚きもありましたが、それもこの作品を構成する大事な部分なのでしょう。ただ、いわゆる「悪党」どもの最期はどれもこれも呆気なかったような気も。勧善懲悪の物語ではないので、そこにカタルシスを求めるのではないかも知れませんが。

10巻を一気呵成に読み終えた爽快感や充足感があります。(途中2冊ほど寄り道しましたが)外伝は次の機会にしましょうか。

『銀河英雄伝説9 回天篇』(田中芳樹)

銀河英雄伝説〈9〉回天篇 (創元SF文庫)

早い段階から布石は置かれていましたが、ついにとうとうという感じですな。どうしてそうなるのかと思えば、意外と呆気ないというかちょっとした切っ掛けで歴史は動くものだと思わされたりもしました。そういう意味でロイエンタールの行動は始まりはドタバタに紛れた感じでしたが、終わりは自らの意志で動きそれがまたカッコいい。とことんカッコいい人物でした。
またラインハルトの求婚騒ぎにしても同じで、全く違う方面の出来事が影響を及ぼすのですから「桶屋が儲かる」気持ちですね。しかしラインハルトの求婚は微笑ましいというか何というか。
未来への布石も感じられた9巻。さて、次はとうとう最終巻だ。

『銀河英雄伝説8 乱離篇』(田中芳樹)

銀河英雄伝説 〈8〉 乱離篇 (創元SF文庫)

ついに8巻、とうとう8巻。2巻に続いて魔の8巻ですよ。
判ってはいてもつらいものです。まさかこんな所で退場するとは。まだ2巻残っているどころか、8巻自体中盤で… 歴史物語に与えられた役割として、ここで後を継ぐものにバトンを渡してしまうのですね。

銀英伝お馴染みの「後世の歴史家」の言葉を使うことで、キャラクターの人物像や功績を多面的に見せています。それはいいことばかりでなく、このキャラクターのこの時の行動はこういう面から見ると批判される部分もあるという部分も示しています。それはキャラクターに接近し過ぎない作者の筆を感じさせるのですが、ある意味キャラクターについてのありとあらゆる評を作者自身が書くことによって読み手が勝手に想像する余白を残していないようにも思えました。もしかするとこういう側面もあるかも知れないと思う部分を先に作者が「後世の歴史家」を用いて述べてしまっているのですから。それはキャラクターへの過剰な愛情でなく、キャラクターを歴史に於ける駒として配しているから、意図しない動きを封じるためのものなのかも。そんなことも感じました。

『銀河英雄伝説7 怒濤篇』(田中芳樹)

銀河英雄伝説〈7〉怒涛篇 (創元SF文庫)

怒濤篇の名前通りに波瀾万丈な展開ですな。
主人公(のひとり)が皇帝の座に着きめでたしめでたしにならないのが、歴史を俯瞰した物語ならではでしょう。なることよりも続けることが大変なんだねえ、とシミジミ思ってしまいます。それにみんながみんなラインハルトやらヤンに対して、自分の理想を乗せ過ぎていて、それもまた時代の人たるふたりの宿命と言え何とかならんものかと思ったり。
またある人物にスポットが当たると、死亡フラグなのではないかとヒヤヒヤさせられますね。まだまだ油断できませんが。
プロフィール

大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市住吉区遠里小野5−3−1




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