『月と六ペンス』(サマセット・モーム、金原瑞人・訳)



タイトルだけは知っているが内容を全く知らず、でも何かが気になって手に取ったのです。タイトルの響きかも知れません、表紙のデザインかも知れません、金原瑞人さんが訳をしていたからかも知れません。そして読み始める時にはじめてゴーギャンをモデルとした人物の物語であることも知りました。
そんな状態で読んだ物語はとても強い力を持っていました。職も家族も自分さえも捨てて絵を描くことを選んだストリックランド。いや絵を描かずにおられなかったと言うべきでしょうか。あまりにも強烈なその想いは周りの人たちを否応なく巻き込みます。
主人公はストリックランドのことを気になりつつも反発も持ちます。しかし主人公とは別にストリックランドに引き込まれる人が出てきます。その芸術的力量に惚れるもの、ギラギラとした魂に引かれるもの、ただそばに付き添うもの。そんな人たちの想いもまた強い力を持っていました。引き付けられるが決して受け容れられずに弾かれる力。それはストリックランドが持つ引力に対する斥力として在ったものかも知れません。それが天才というものの存在を示すのでしょうか。
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Author:大吉
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好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

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