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『灰色の畑と緑の畑』(ウルズラ・ヴェルフェル、野村泫・訳)



今から40年以上前の作品ですが、ここに書かれていることは今に通じるものも多いでしょう。子どもたちを中心として人々の生活をスパッと切り取って描写されています。その結果として貧困や差別などが表出しているように感じました。つまり世の中のことを描こうとすると、そういう問題となるできごとを書かざるを得ないかのように。
1編1編は短くスッキリと書かれています。そのため問題となるものが色濃く見えます。問題は提示されるだけで解決する訳ではありません。虐げられている人が救われる訳でもありません。悲劇的に煽っているというよりも、それもまた人々の営みをそのまま切り取っているが故に見えるのです。
しかしそれだけでなく、遠足でいなくなった少年が遅れてやってくる話や、恐怖心から夜の鳥を生み出してしまう少年の話や、別れた父親に会うもぎくしゃくしてしまう話など、物悲しさの中に妙な諧謔的な面白さを感じる物語もあります。
そして最後に収録されているのが、貧村から飛び出して学校に入り教師となって故郷に戻ろうとする若者の物語。希望を感じながら幕を閉じるのです。
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大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市阿倍野区王子町3−4−4




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