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『ドッグ・シェルター 犬と少年たちの再出航』(今西乃子)



アメリカ・オレゴン州のマクラーレン少年院で行なわれているプロジェクト・プーチ。そこでは野良犬や捨て犬を保護するドッグ・シェルターの犬を、少年院の子どもたちが世話をするのだった。
保護犬と罪を犯した子どもたちとの出会い。素敵な取り組みですが、これを形にするのは大変だっただろうと想像します。お国柄なのかマクラーレン少年院は社会に対して開かれた印象があります。なによりドッグ・シェルターと協力しているということ。そして少年院の子どもたちが世話をした犬は、子どもたちの手によって飼い主募集のチラシを作られ(その掲示はもちろんスタッフが行なうのですが)、新たな飼い主と少年院の子どもが直に会って犬の受け渡しをする。また施設内で行なわれている犬の訓練に一般の人たちも参加できる、等々。これは社会で道を外れた子どもたちを見守ろうという思いの表れなのではないでしょうか。それがあってこそ、プロジェクト・プーチは成り立つのでしょう。
犬の世話をするという自分の役割を与えられることによって変わっていく子どもたち。自分を信頼してくれる犬の存在の大きさ。そしてそれを見守りそのシステムを構築したスタッフの努力。それら全てが胸を打ちます。
犬の引き取り手として自閉症の少年がやってくるのも考えさせられます。果たして自閉症の少年に犬の世話ができるのだろうか。そのことに犬の世話をしてきた少年院の少年は大丈夫と肯定します。そこにあるのはやはり信頼なのですね。犬との間で築けた信頼関係を、自閉症の少年との間にも築く。他者を信じ他者から信じられることを知り、それに価値を見出した者だからこそ言える肯定だったのでしょう。
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大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市阿倍野区王子町3−4−4




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