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『チャリング・クロス街84番地』(ヘレーン・ハンフ・編著、江藤淳・訳)




ニューヨークに住む本好きの女性がロンドンの古書店に送った一通の手紙、そこから始まった20年に及ぶ手紙の行き来。
ユーモアに溢れ素敵な本に出会えたことを心の底から喜び、残念な本と出会ってしまったことへの落胆も隠さずぶつけるヘレーンの筆に笑みがこぼれます。そして対する古書店のドエル氏のある種の真面目さと、へレーンのユーモアを受け取るユーモア性のある返信に心温まります。そこには本を通じて感じ得る信頼と友情があったのでしょう。ヘレーンは買い物制限のあったロンドンの友のために缶詰などを送り、ドエル氏は家族の様子を知らせクリスマスのカードを送ります。
そして今回読んだこの本は、なんと前の持ち主によって線が引かれメモ書きが為されたいわゆる痕跡本だったのです。気になる箇所に線が引かれ、感想や調べたことが余白に記されていたのです。普段ならば本を読む時の邪魔にも思えるそれらの痕跡が、この本にいたっては知らぬ人との本を通じたやり取りにも思えたのです。そこが気になりましたか、そう感じましたかと、どこの誰かも知らぬ時間も空間も越えた相手とともに読むような面白さを味わいました。
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大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市阿倍野区王子町3−4−4




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