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『春の庭』(柴崎友香)



面白かったー! と読み終えて、さて感想を書こうとしたら何をどう書いたらいいのやらわからなくなる。そんな状態に陥っています。
家の物語、町の物語、去り行く人たちの物語。移り行くものたちの物語。舞台となるのが立て壊しの決定しているアパートとその裏にある水色の瀟洒な家。その家はCMディレクターと小劇団女優の夫婦が住み、そこを舞台とした写真集が発行された場所。写真集を介して知っていたその家に入ってみたい、中を見てみたいという思い。そんなことが淡々と、そしてユーモラスに書かれています。
主を変えながらもそこにある家。町の風景の一部だと思っていたものが不意に消えてしまうこと。もうすぐなくなってしまうアパートに住んでいるということ。父親の遺骨を粉にしたすり鉢と乳棒、部屋いっぱいに詰め込んだソファ。何かを表わしているような、そのままそれでしかないような。事件が起こりそうで起こらず、冷蔵庫の中の豆腐に思いを巡らせて幕を閉じる物語。ものごとの連続が日常ならば、日常に訪れる変化や断絶は何を表わすのか。
そんなこんなを思いながら、やはり面白かったー! としか言えない思いを抱くのでした。
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大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市阿倍野区王子町3−4−4




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