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『ワンダー Wonder』(R.J.パラシオ、中井はるの・訳)



オギーはふつうの男の子。ただし、顔以外は。このキャッチコピーが全てを表わしています。オギーの顔を見た人はまずは驚き、次にそっと目をそらし敢えて何もないかのように振る舞う。もしくはそっとその場を離れる。もしくはおぞましい言葉を投げ掛ける。オギー自身自分の外見については嫌というほどわかっており、「きみがどう想像したって、きっとそれよりひどい」と述べている。
幼い頃から手術の繰り返しのため学校に行ってなかったオギーが学校に通うことになることから物語は始まります。オギー自身、そして姉のヴィア、親友、姉の友達や彼氏の視線で物語は語られます。それによってオギーが置かれた立場だけでなく、オギーのそばにいることの意味がより深く語られます。
学校でのオギーは否応なく目立ち、目立つが故に孤立します。大抵の人たちはあからさまな悪意を発しはしないが近付きもしない。一部の人は自分から遠ざけようとし、また一部の人は積極的に悪意をぶつける。そんな中ではじめから外見を気にせず近付いてくれる女の子や、はじめは先生に頼まれたから世話を焼いていたが、次第にオギーの内面に惹かれて親友となる男の子などの存在がオギーの世界を広げていきます。
また姉の視点では弟のオギーを愛するが故にオギーがいなければオギーの存在を知られなければという思いが膨らみ、膨らむ思いに自己嫌悪に陥る姿も描かれます。
出てくる人物はみんなオギーを通じて己の心を見せられることとなります。しかしオギーは決して他人の道徳心を計るための道具ではないのです。みんなオギーの外見に関わらず、オギーがオギーであるから付き合っていきます。だからこれを読んだ人もオギーを己の道徳心のはかりとするのでなく、オギーの勇気、そして周りの人の愛と葛藤をそのまま受け容れて、それこそを己の心の糧とできればいいのかも知れません。
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大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市阿倍野区王子町3−4−4




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