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『江ノ島西浦写真館』(三上延)



江ノ島にある写真館そこの女店主が亡くなり店を閉めることとなり、孫娘の繭は整理のために久し振りに写真館を訪れる。写真家を目指していた繭はとある出来事が元で、写真からは身を離していた。整理を始めると「未渡し写真」と貼紙のある缶が出てきた。そこにあった写真が秘めたものとは。
「ビブリア古書堂」でお仕事ミステリのブームを生み出した作者による作品。閉ざされた古い写真館を舞台に、過去と現在が繋がります。写真というのは過去を閉じ込めたもの。その一枚に景色だけでなく人間の感情も時間も何もかもが込められるのでしょう。だからミステリの題材として扱いやすいものなのかも知れません。そこに写真の専門知識を謎を解きほぐす鍵として用いる。お仕事ミステリの模範となるようなきれいな型が出来上がっています。
そこに出て来る人物誰も彼もが謎を心に秘めており、それらによって物語が紡がれていきます。主人公の繭の謎で引っ張っていくのかと思いきや、序盤でその謎は開陳されます。でもそこを解放することによって、後の人物同士の関係性が生まれるのだから面白いです。
全体的にセピアが掛かったようなおとなしめの印象ですが、それが凛とした印象へと移りゆく様子も楽しめました。
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大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市阿倍野区王子町3−4−4




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