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「羽根をなくした妖精』(ユリヨ・コッコ、渡部翠・訳)



「必読系!ヤングアダルト」と銘打ったシリーズの一冊。そりゃ読まなきゃと手に取ったのです。
フィンランドの作家によるファンタジー。虹の世界から地上へとやって来た妖精のイルージアは、森のトロールのペシと出会う。オニグモの奸計によって羽根を奪われたイルージアは、ペシとともに地上で暮らすようになる。
フィンランドの森(自然)の様子が美しく描かれています。鳥たちは春になるとやって来て卵を産み育てる。樹々や花々は虫や動物を介して受粉し種を広める。そんな動植物の営みが擬人化されつつも詳細に書かれています。
いかにして動植物たちが子孫を残し繁栄させていくのか、そのことが作品のテーマのひとつであることは確かでしょう。それは妖精やトロールというファンタジー世界にも影響を及ぼし、また人間世界もまたその自然の営みのひとつであることが示唆されています。それは戦争が押し寄せてきた時代だったからこそ書かれた姿なのかも知れません。
自然の厳しさも書かれながらも、物語全体は穏やかで優しいものに包まれています。それはイルージアとペシによるものが大きいでしょう。種を越えた友愛。美しいものの代表とされる妖精が、毛むくじゃらのトロールに対して何も偏見を抱かないどころか、トロール自身が気付いていない魅力を伝えます。異なるもの同士だからこそ気付くこと、相手を求めることがあるのだともイルージアとペシは語りかけるのです。

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大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市阿倍野区王子町3−4−4




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