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『飛び跳ねる教室』(千葉聡)



「ちばさと」こと歌人の千葉聡さんは30歳を過ぎてから中学校の国語教師として新たなスタートを切る。新人教師に待っていたのは過酷な毎日だった。しかしその過酷さの向こうには温かい笑いに満ちたものも待っていた。
教師としての毎日や子どもたちとの交流が、短歌を交えて語られます。この短歌を交えてというのがこの本の一番の特徴でしょうか。いや、短歌エッセイと銘打たれているのだから当然なのですが。中学校というのは大変なところであるというイメージが先行しています。ちばさとも散々周りからそのことを言われ、実際に自分でもその大変さを味わいます。しかし中学生とともに歩むことを決めた時に大変さだけではないことにも気付かされます。
これは中学生とふだん接していない人には中学生が持つ様々な顔に気付かされるものとなるのかも知れません。一口に中学生と言っても彼ら彼女らはひとりひとり違う顔を心を持っています。そんな当たり前のことにも気付かされ、中学生たちに媚びるのでなくすぐそばにいるちばさとの素敵さに気付くのです。
そして短歌と触れ合っていなかった人が短歌の魅力に気付く本でもあるでしょう。中学校での様子がエッセイとしての文章だけでなく短歌でも表わされているので、より多角的にこちらの心に入ってきます。そのことで短歌があらゆる物事を表わすことができるのだということにも気付かされます。短歌を教科書などでしか知らなければ、短歌って堅苦しいもの高尚なものというイメージがあるんですよね。僕も最近になってそのイメージから脱却しましたから。31文字の短い中にこれだけの世界を込めることができるのだと思い知らされます。
普段自分が接していない世界を知ること。その面白さを楽しむことのできる、そんな一冊でした。

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大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市阿倍野区王子町3−4−4




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