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『土曜日の子ども』(小森収)



書店員を語り手とした連作ミステリ短編集。
第一話が50円玉20枚の謎(決まった曜日に50円玉20枚を千円札に両替して欲しいと書店員に頼む客の謎)から始まったので、書店を舞台とした日常の謎かなと思ったら、すぐに殺人事件が起こり、おやおやと思っている内に思いも寄らぬところに案内されてしまったという感じでした。
はじめの内は事件そのものよりも、そこにある謎に主眼が置かれていました。どしゃ降りの雨が降っていたのに死体のそばにあった傘が使われていなかったのは何故か? というように。それは事件そのものがかたりと距離のあるものだったので、気軽に謎を楽しむことができたのかも知れません。
しかし事件と語り手との距離が徐々に縮まり、事件そのものの重みが語り手を通して読み手にもずしりと感じられるようになるのです。そうなると謎よりも事件そのものの意味が大きく問われることになるのです。凛とした文章で綴られているため嫌な感覚はありませんが、気付いたら心の奥に重いものが残っていました。また語られていない部分の大きさや重さをも感じさせる、そんな物語でした。
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大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市阿倍野区王子町3−4−4




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