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『Jに羽根はいらない』(界達かたる)

Jに羽根はいらない

涼平がバスケットコートで出会った少女涼羽は、怪我のためバスケを諦めようとしていた。そのことに憂いを感じた涼平は、涼羽にあるゲームを提案するのだった。
実に真っ直ぐで真っ正直な青春物語でした。好きという気持ち、打ち込めるもの、怪我、事故、病気、家庭の事情、幼なじみ、憧れの人、偶然の再会などなど、まるでみんなが好きなものを詰め込めるだけ詰め込んだ幕の内弁当のような展開が待っていました。しかもそれぞれの要素がどこかで味わったことのある感じで、だからこそ安心して味わうことができるというものでした。そのため実に読みやすくスッと情景が流れていきます。
3章仕立てになっており、それぞれ視点が時間や人物を変えることで変化をつけ、物語を多重層構造にしています。ある仕掛けもとてもきれいに仕掛けられています。しかしそれもわかりやすく提示されているため、どこか既視感めいたものがあるのです。
でもこれが今風の物語なのかも知れません。安心思考というのでしょうか。驚くにも感動するにも先もって心の準備をしてからでないと、安心して驚けないし感動できない。驚きや感動にきちんと道標が立てられている。幕の内弁当の中身は知ったおかずでないと食べにくい。
物語自体は面白いものでした。青春小説は恥ずかしいくらい真っ直ぐな方が伝わることもあるのでしょう。物語の面白さを体験するのにいい作品かも知れません。
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大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市阿倍野区王子町3−4−4




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