FC2ブログ

『火星の人』(アンディ・ウィアー、小野田和子・訳)

火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)
火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

火星にひとり置いてけぼりにされたマーク・ワトニーのサバイバル。
火星版ロビンソン・クルーソーな訳ですが、これを読むとロビンソン・クルーソーの環境はリゾートホテルのように思えてしまいます。
何せ火星ですから食料に留まらず空気も水も自ら作り出さねば生きていけない環境なのです。どのようにして生き延びるのか、科学知識とアイデア、そしてユーモアで危機を乗り越えていく姿が素敵なのです。
科学知識が欠落しているのでひとつひとつの行程を理解するのに少し時間が掛かりました。正直よくわからない部分も出てきます。それでも面白く読めたのは、原因と過程と結果をきちんと示してくれたからでしょう。
問題点があるとそれは何故問題なのかが示され、何故その問題が起こったのかが示され、それの対策法とその目的が具体的に示される。その流れがきれいなので、科学知識が乏しくとも流れに乗って読み進むことができるのです。
しかしまあ次から次へと問題が起こること起こること。この状況で起こりうる問題というのはこういうのがありますよと提示されるが如く、問題が起こります。でもその問題に対応する術も、ほらこのようにありますよと出てくるのですね。それだけだと科学知識本になってしまうのですが、そこに我らが主人公ワトニーの人間性が加味されてユーモアに溢れた物語となるのです。これだけ緊迫した物語なのに、これだけ笑えるのですから。
火星でのサバイバルのみに焦点を当て「まじりけなしのSF」と称され究極のハードSFと呼ばれる作品は、そのユーモアで読者の裾野を広げたのでしょう。そこにワトニーを見守る人々の想いが交錯し物語を盛り上げます。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市阿倍野区王子町3−4−4




にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

FC2カウンター
ブクログ
カテゴリ
リンク
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
検索フォーム