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『カラヴァル 深紅色の少女』(ステファニー・ガーバー、西本かおる・訳)

カラヴァル(Caraval) 深紅色の少女
カラヴァル(Caraval) 深紅色の少女

勝利者は何でも願いが叶うという夢と魔法のゲームカラヴァル。父の虐待に縛られていたスカーレットは、幼い日よりカラヴァルに招待されることを望んでいた。スカーレットの結婚が迫った日、カラヴァルのゲームマスターレジェンドから招待状が届くのだった。

本屋大賞の翻訳小説部門1位となった作品であり、翻訳者の西本かおるさんの言葉に10代の女の子に読んで欲しい作品というのがあり、興味を持ち手にしました。
悪夢の中で悪夢を見るようなおぞましさと妖しさと美しさが入り交じったような世界。全てはゲームであり虚像であり演技であり夢である。何が本当なのか嘘なのか。そんな世界に放り込まれたスカーレットの翻弄する様子が強く書かれています。
スカーレットはその生い立ち故、どうしても夢と魔法の世界に身を投じてしまうことができず、それがじれったくも感じます。折角舞台が整っているのに、なかなか主人公が舞台に上がらず遠巻きに逃げ回っているので、話が進んでいるのか停滞しているのかもわからない状態に読者も放り込まれます。
その翻弄されながらも夢に陶酔していく様子を楽しむのがこの作品の魅力なのだろうと思います。共に夢を見ることで世界に耽溺していく。しかしその夢は覚めることのない悪夢かも知れませんが。はまりすぎないよう、どうぞご注意を。この言葉こそこの作品を象徴するものでしょう。
カーテンコールのあとに舞台裏を見せられるようなラストシーンは興醒めとも思えましたが、スカーレットが新たな世界に足を踏み出すために必要なことだったのかも知れません。そして妹のテラに訪れる新たな世界の扉を示すためにも。そして物語は続くのです。
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大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市阿倍野区王子町3−4−4




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