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『戦火の三匹 ロンドン大脱出』(ミーガン・リクス、尾高薫・訳)

戦火の三匹: ロンドン大脱出 (児童書)
戦火の三匹: ロンドン大脱出 (児童書)

1939年イギリスがドイツに宣戦布告するとロンドンから子どもたちを疎開する人々が増えた。ロバートとルーシーのふたりも祖母の元に疎開することとなり、両親も戦争に備え空軍基地や船上病院での勤務につくために、ペットの三匹を近所に預けることとなった。しかしそこの主人によってペットたちが処分されそうになった時、三匹は命からがら逃げ出すのだった。

第二次世界大戦下でのイギリスの様子を、疎開する子ども、都会に残る子ども、その親たち、そしてペットの動物たちの目を通して書かれています。そこには戦争を前にして40万匹以上のペットが安楽死させられたという史実があります。
逃げ出した三匹ジャックラッセル犬のバスター、ボーダーコリー犬のローズ、猫のタイガーはローズの帰巣本能を元に旅をすることになるのですが、この三匹の個性が物語を引っ張っていきます。
イタズラ好きで好奇心いっぱいのバスター、真面目で慎重なローズ、マイペースなタイガー。それぞれの見せ場も用意されており、三匹の旅を彩っています。三匹は擬人化することなくあくまで犬猫として書かれています。そこは描写の巧さと言いましょうか三匹の内面に入り過ぎず、少し離れた位置から三匹の様子が書かれているのです。そんな三匹の行動から三匹の気持ちが想起され共感を生むことになります。そして読者も三匹と共に旅をすることになるのです。
そんな三匹と並行して人間の様子も描かれます。疎開先での人間関係、先の戦争の悲しみのために奇行を繰り返す祖母、戦争のために犠牲となる動物とそれを助けようとする人の活動。それらが組み合わされ戦争という重いテーマを扱いながらも温かさとユーモアにも溢れた作品となっています。
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大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市阿倍野区王子町3−4−4




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