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『影の王』(スーザン・クーパー、井辻朱美・訳)

影の王
影の王

シェイクスピア劇の上演のためロンドンへと来たアメリカの少年ナットは、目覚めると16世紀のロンドンにいた。そこでナットはシェイクスピアの元で新しくできたグローブ座の舞台で妖精パックを演じるのだった。

タイムスリップものの面白さは、主人公とともにその時代を楽しむところでしょう。ここでも16世紀ロンドンの様子がこと細かに描写されています。生活や習俗の違いからからのショックをまず描き、その後過去世界に慣れていくにつれてその世界のよさも見えてくる。それはナットの目を通じて読者も同じように感じさせられ、世界に入っていきます。
そしてナットのタイムスリップはただナットが過去に飛んだというだけでなく、16世紀の少年と入れ違いになったことが示され、それが大きな意味を持ちます。
ナットとシェイクスピアとの出会い。それは歴史上の偉人に出会ったということ以上に、ナットに大きく影響します。憧れと安堵感。この人とと共にいたいという思い。それは父母を亡くしたナットの心に沁み入り隙間を埋めてくれるのです。
ナットのタイムスリップには歴史的な意味があったことが後に示されますが、それよりもナット自身がシェイクスピアに出会う必要があったのでしょう。だから出会いと別れ、そして別れた後も常に影響し合うことの大切さや素敵さが響きます。

これを読む前にもっとしっかりとシェイクスピア作品を読んでおけばよかったと思わされました。特に「真夏の夜の夢」は必読です。それによってより深く物語が楽しめるでしょう。
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大吉

Author:大吉
物語の魅力を伝える古本屋をやっています。

好きな作家は、有栖川有栖、田中芳樹、江戸川乱歩、倉知淳、恩田陸、北村薫、宮部みゆき、京極夏彦、小川洋子、殊能将之、梨木香歩、泡坂妻夫、東川篤哉、綾辻行人、長野まゆみ、大崎梢、恒川光太郎、吉田篤弘、上橋菜穂子、岡田淳、R・ダール、E・ケストナー、などなど。気になりゃ何でも読みます。

子どもたちに物語の面白さを伝える、そんな駄菓子屋のような古本屋を目指します。

「古本 大吉堂」大阪市阿倍野区王子町3−4−4




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